2025/05/25 21:36

今回からは、「SALUÉ の素材について」少しずつお伝えしていきたいと思います。
以前のnoteでも、素材の説明を書いてもらっています。
「light weight linenについて」
https://note.com/salue_fashion/n/nd514e22e04b2
「mid weight linenについて」
https://note.com/salue_fashion/n/n227887b8176e
今回はその前に、麻について簡単にまとめました。
多くのリネン製品は、品質表示に「麻」と記載されています。
麻について
そもそも皆さんは、麻というものに対してどういったイメージをお持ちでしょうか。
漢字があるくらいですから、古来から日本にもあったものなんですよね。着物は勿論、遥か昔の縄文時代から麻は使われていたのです。
麻の繊維の原料は、代表的なものは下記の3種類となります。
・リネン=亜麻(あま)
・ヘンプ=大麻(たいま)
・ラミー=苧麻(ちょま)
原材料は植物。使われる植物により特徴が変わるのです。
リネンはフラックスという植物から作られています。フラックスの産地はヨーロッパやバルト三国とその周辺の涼しい地域が中心です。
中国の北部でも栽培されていますが、温暖化の影響で近年は不作が続き、年々希少な存在となっています。
ヘンプの産地は、中央アジアからロシアまでです。主に冬に育てられています。近年のリネン不足もあって、今ヘンプ素材は注目されている素材です。
ラミーは、気温が高く湿気の高い地域、ブラジル・フィリピン・中国が中心です。近年は(フラックス不足が深刻なことから)他国でも栽培が始まっています。日本でも、ラミー(苧麻)は古くは縄文時代から、飛鳥・奈良時代の衣料にも使われていました。近江は麻の産地として有名ですが、こちらもかつては琵琶湖の周辺で栽培された苧麻が使われていました。
これら3つの繊維は、それぞれ特徴が異なりますが、中でもリネンは 肌あたりが柔らかく、通気性と保温性に優れ、年間を通して快適な素材です。
私と「リトアニアリネンとの出会い」は初回の記事で書かせていただきました。
吸水性が高く、使ううちに柔らかく育つクロスは、丈夫だからこそ 時間をかけて育てることが可能です。
https://sal555468.owndshop.com/blog/2025/02/01/210706

リネン素材との出会い
私とリネンとの最初の出会いはマーガレットハウエルの洋服です。ハウエルは、かつてはアイリッシュリネンを多く使っていたと思いますので、愛用していたシャツ・パンツ・ジャケットどれもおそらくアイリッシュリネンだったのではないでしょうか。
「他の素材では見られない独特のカッコ良いシワ感」に魅せられ、ブランドとしての完成された世界観に影響を受けました。
その後育児で忙しくなっても、「きちんと感もありつつ、扱いが楽」なハウエルのリネンの服は、無理なく着続けることができました。今でも大好きなブランドです。
ハウエルが日本で展開を始めた数年後、新宿にバーニーズニューヨークができました。
そこで出会ったフレンチリネンのハンカチは、実用的なリネンとの出会いと言えます。
薄いのに吸水性が高いフレンチリネンのハンカチは、洗うほど柔らかくなり、エイジングも美しく、手放せないアイテムになりました。

その後お迎えしたベルギーリネンのハンカチや、オールドマンズテーラーのリネンハンカチは今でも大切にしています。
最近は、やはりSALUÉ のリネンハンカチが中心です。
左のベルギーリネンのハンカチは、大阪のウルさんで購入。目が詰まったベルギーリネンに対して、右のリトアニアリネンは織りが甘く軽くふんわりしています。

SALUÉ のリネンハンカチは2種類あります。
リトアニア縫製の、ハシゴステッチ入りのものと、国内縫製の「シンプルタイプ」です。
リネンの種類
今の話でいくつかの「リネン」が出てきました。
アイリッシュリネン
フレンチリネン
ベルギーリネン
リトアニアンリネン
これらの名称には、明確なルールはないそうです。
・繊維の採取場所
・紡績した場所
・生地の工場
様々な条件の元に決めているようです。
例えば、日本では近江は麻で有名な土地ですが、現在では海外から糸を買い、日本の旗屋さんでアイリッシュリネンやフレンチリネンも作っています。この場合は、良質な糸と国内の優れた技術の融合ですね。
リトアニアリネンとは
「SALUÉ のリネンはどこで作られているのか」という話をします。
元々はリトアニアで育ったフラックスを使っていましたが、近年は温暖化の影響でリトアニア国内ではフラックスが育たなくなり、現在はお隣の国のベラルーシとロシアで採取されたフラックスを使うことが多くなっています。(シウラス社の場合)
※ウクライナ侵攻が始まってからは、繊維がスムーズに入ってこなくなり、さらに希少性が高くなり価格も高騰しています。
当ブランドのオリジナル生地は、2025年現在は「シウラス」という工場のものが100%、ホームリネンで一部、「リノメダ」の生地を使っています。
冒頭で「条件により面が変わる」というお話をしましたが、実はリトアニアでもフレンチリネンを生産しています。
リトアニアは上品な生地が作れないのではなく、リトアニアリネンを生産するためには「相応しい糸」を使っているということです。シャトルと呼ばれる織機も変えて、それらが今の当ブランドの特徴である無骨なリネンとなる個性を生み出しています。
特に古いシャトルで作っている生地の1つが、『マルチリネン』で使っている「ハックバックリネン」です。
工場に縫製を依頼した「ブレッドキーパー」には、裏地としてハックバックを使っています。(贅沢ですね)
パンを入れるための袋ですが、お野菜でも、小物でも、お好きな使い方ができます。ご家庭で洗えるところがいいですね。
生地についてのお話、初回は麻とリネンの説明までとなりました。
この続きは数回に分けて連載していきますね。